ストーリー
刑務所に面会に来た劉彩彩。夫の馬国強はひき逃げ犯として留置されていた。模範囚としてようやく刑期が短縮されて出所のめどが立ち喜ぶ馬国強に彩彩は、家を売ったこと、息子は独立して嘉林市で働いていること、そして、二人とは今後縁を切ってほしいと告げる。
国強はショックを受けながらも、妻子のため、二人のために出所しても探さないと答える。
詩情と鶴云は警察に出頭して参考人として情報を提供した。
バスの中で何か普段と違うことはなかったか聞かれ、2人は大きな麻袋を持った老人の話をする。なんとなく怪しい感じがした、と述べる詩情。
根拠として快楽一哥の動画を見せ、動画サイトの書き込みにも老人の顔が緊張していて怪しげだと書いてあったと示した。
2人のバス停でのもめ事に関する証言は蘆笛の話と一致していたため、一旦3人は問題がないものと判断されたが、張成は詩情だけ帰して、2人にはしばらく残ってもらうようにと言った。玄関へ案内される詩情は集められた遺族の部屋を覗き込んだ。
警官にボーイフレンドの供述が終わるのを待ちたい、と頼み、その場に残る詩情。張成は馬国強の家族を別室に呼んで状況を確認した。馬国強にひき逃げされたのは息子の小龍の同級生だったことや、その後母子はいたたまれず田舎を逃げるようにして嘉林市にやってきたこと、賠償を払い続けていること、出所後は一度も会っていないことなど聞く。国強は家族に会いに来たのかと問う張成に、小龍は父親が嘉林市に来ていたことすら知らなかったと答えた。
被害者は今でも国強を恨んでいるのか訊かれ、母子は動揺する。
詩情は馬国強の元妻の劉彩彩が、もしバスが爆発したのが彼のせいだったらこんなに沢山の遺族に対して私たちはどうやってもお詫びできないと泣き崩れるのを見て、馬国強がかって刑務所に留置されていた、殺人犯であることを知る。
小龍は会話が終わると、母と供述を交代する前に手洗いを借りたいと伝え、席を外す。警察署の玄関で一人たたずむ小龍に詩情は近付いた。
詩情が遺族ではなく、バスの乗客だったことを知った小龍は、布の袋を持った男を見たかと尋ねる。スイカを持った老人が座っていたと答えると、それは僕の父親だ、と語り始める小龍。
父親の非業の死は、会いたいと何度も電話してきたのに無視し続けた自分のせいだと悔やむ小龍。こんなことになるなら会ってあげればよかった。
供述をほぼ終えた蘆笛のところに、警官に連れられた母親が騒ぎながら入ってくる。何事かと張成と葉たちは様子を見に部屋へ入ると、日記を持った母親が、泣き叫ぶ。
「誰がこの子をだましたのか知らないけど、この子ったら爆発から皆を守るとか、死ぬって言って遺書を書いたのよ」
「爆発?」
張成の顔が険しくなり、日記を受け取り、葉と部屋を出て読み始める。3人の出会いやバスの爆発の経緯とそれから乗客を守るために戦うといった蘆笛の決意が記されている。
「李詩情を呼び戻せ」
蘆笛親子は室内でもめていた。
「別の世界に行くなんて誰かに騙されているのよ!遺書まで書いて」
「死んだら死んだでいいじゃないか!もうどうだっていいんだ!僕は一人の人間で母さんの付属品じゃない」
怒る母親に、蘆笛はたまらず叫ぶ。
「彼らは僕を選んでくれた。23年間生きてきて初めて他でもない僕をかけがえのないものだと思わせてくれたんだ!母さんにはわからないしわかってほしいとも思わない」
「だれが何のために選んだというの?」
「世界を守るために」
誇らしげに宣言する蘆笛を遮り、母親はなおも
「アニメシティに何があるっていうの?何をかくしごとばかりしているの!」
と責めるが、父親が彼女を制止して怒鳴りつける。
「どこの子に秘密がないっていうんだ!部屋を借りただけじゃないか」
父親は蘆笛の秘密をこれまでも知っていて黙っていたのだった。
「誰がそうさせたんだ!」
自分たちの態度が、蘆笛の意志を尊重せず、秘密を持つように仕向けてきたことを詫び、理解を示す父親。母親に部屋を出るよう言い、部屋に残った蘆笛に、自分も妻も、若いころはロッカーや俳優の追っかけをしたことを話し、お前と私たちは同じなんだよ、と優しく伝える。
「ありがとう、父さん」
抱きついてつぶやく蘆笛にきちんと警察に協力するようにと諭して出ていく父親。
蘆笛の日記の存在で、容疑を掛けられた3人はそれぞれ別の取調室に入れられた。
バスの爆破事件への関与を尋ねられる3人。
詩情も鶴云もループの話を何度もさせられてうんざりしていたのであくびをしたり、頬杖を突きながらけだるく供述を続ける。
どうせいくら本当のことを話しても誰も信じてはくれない。寝て、起きて、振出からやりなおそう。
「時間がもうありません!あなた方が知っている情報を僕に共有してください」
蘆笛ただ一人だけが熱弁をふるう。
「僕はあなた方のために世界を救います!」
「世界を救う。素晴らしいね。君が世界を救う手伝いをしよう」
張成はため息交じりに言った。
「だからその前にこちらの質問に答えてもらおう」
目が覚めると、またバスの中だった。
「なんでこうなったの?何か警察でヘンなことを言ったの?」
疑う詩情に鶴云もげんなりしながら
「僕じゃないよ。江刑事は蘆笛が母親に遺書を書いたんだって言ってた。そこにタイムループのことが書いてあったらしい」
二度と警察でタイムループの話はしたくないとうんざりして同意する2人。
詩情は警察で、麻袋の老人が殺人犯だったという情報を鶴云に伝える。とにかく乗客の荷物の調査の続きをしよう、と次は彼の荷物を確認することに決めた。
2人は言い合いをして揉めながらバスの前方に歩いていき、偶然を装って鶴云が麻袋を蹴飛ばした。袋の中でスイカが割れる。もう一度、わざと別の塊を蹴り上げたところで老人は怒り出して鶴云を突き飛ばした。
謝ろうとする鶴云を席に戻して詩情はスイカを買い取ると申し出た。
「このスイカは売り物じゃないんだ」
老人は力なくつぶやく。悲しげな表情をしてスイカを見下ろす老人に
「もしかしてあなたは馬小龍のお父さんじゃないですか?私は彼の同僚です」
詩情は作り話を始めた。
彼の写真を見せてもらったこと、父親のスイカが世界一だと自慢していたこと、会いたがっていたことなどを述べる詩情に、馬国強は
「倅の同僚ならスイカを食べてもらわなきゃ」
と、割れたスイカの様子を見て、汚れていないところを渡した。
「どうかみなさんも食べてください」
スイカを蹴って気まずい鶴云にも笑顔でとりわける老人。
バスの乗客のほとんどがスイカを食べながら甘い、甘いと笑いあってなごんでいるところで、いつもの携帯の呼び出し音が鳴り始めた。
「馬小龍は間違っていたと後悔していました。あなたを避けるんじゃなかったと。あなたが大好きだって」
詩情は慌てて老人に伝えた。
一瞬驚いて、複雑そうな顔をする老人。
そして、またバスは爆発した。
バスの中でまた目覚める2人。
「君が言った言葉に僕は感動した」
鶴云は心の内を伝える。
「おじいさんは寂しそうで悲しそうだった。小龍だってこんな気持ちで父親が亡くなったと知ったら悲しむはずだから、二人にとっていいことをしたんじゃないかしら」
そういう詩情に頷く鶴云。
「残るは2人だ」
前方のスーツケースの男性と赤いビニール袋の女性をみつめてつぶやく鶴云。
所感とか
ぜんそくを心配するあまり過保護に守り続けているうちに、子供の人格も無視して意思のない自分の所有物のように考えて管理するようになってしまった蘆笛一家。
蘆笛は二次元の世界に逃避し、そのうちに生きがいを感じるようになり、自立し始めたけれども、彼の成長に気が付けない両親はがんじがらめに管理し続け、蘆笛は秘密基地に自分を幸せにするものすべて隠してしまうようになってしまった。
両親の誇れるような子供になりたい、という願いと、実際には友人の一人もいなくて、大好きな猫との生活もできず、生きていても意味がないと感じる虚無感。
これまで誰にも期待もされず、褒められず、何の役にも立ってこなかった自分を必要だと言ってくれた仲間が出来た。蘆笛にとって2人はそんな大事な存在だったのですねー。
誰かの、何かの役に立っている感覚って、生きるために重要な要素だと思います。
自分がかけがえのない存在だと思わせてくれる何か、それさえあれば生きていけるかもしれないくらい、大事ですよね。
だってかけがえが無いんだもん。この世に存在していないといけませんよね。
そして馬国強は妻子に必要とされず、会いたいといっても断られ、存在を否定され、社会から切り離され、孤独に生きている。ひき逃げは確かに悪いことだったし、逃亡したことによって妻子はひどく蔑まれて辛い思いをしたことが想像できます。
でも、出所しても迎えてくれる人はいなく、作り話をしてくれた詩情に感謝する孤独な存在。
2人は違った形で社会から切り離されて生きてきたんですよね。
偶然乗り合わせたバスで爆発に巻き込まれて亡くなって、結び付けられた人々。
ひょっとしたら快楽一哥だって、ポジティブな動画クリエーターだけど、ウザがられて孤独だったかもしれないし、鶴云だって自分の世界観が認められず鬱屈を感じていたかもしれないし、詩情も親元を離れて寂しかったかもしれない。
バスの中にいろんな形の孤独が詰まっていて、まるで現代社会そのものなのかもなーと思いました。
会社の中にも、Twitterの中にも、家庭の中にもいろんな孤独があるから、せめて近くにいる人には、あなたは大切な人だって伝えながら生きたいですよねー。


















0 件のコメント:
コメントを投稿